紫外線と目の関係 (寄稿)

「紫外線と目の関係 (両国眼科クリニック 岩崎美紀院長 寄稿)」

紫外線の性質とは
太陽の光には、目に見える光(可視光線)と目に見えない赤外線や紫外線があります。紫外線とは地表に到達する光のなかで最も波長の短いものです。さらに波長と性質によってUVAとUVBに分けられます。

(季節での変化)
紫外線は夏に最も強いですが、薄い雲りの日でも紫外線の80%が透過します。また秋でも冬でも紫外線は地上に降り注いでいます。

(紫外線の健康への影響)
急性の影響  紫外線角膜炎
マリンスポーツや晴天時のゴルフなど強い紫外線を浴びたときにみられる急性の炎症で、結膜(白目)の充血、異物感、流涙がみられ、ひどくなると角膜がむけて(角膜びらん)強い眼痛を生じます。昼間に強い紫外線を浴びた後、夜間に症状があらわれ、24~48時間で治癒します。新雪の上など紫外線の反射が強い場所で起きる雪目が有名です。
対策として、目を早めに冷やすことです。痛みのあるときは点眼薬で治療が必要ですから眼科を受診してください。

慢性の影響  翼状片や白内障など
1.翼状片(よくじょうへん)とは 眼球結膜がつばさ状に角膜に侵入する線維性の増殖組織で、だんだん範囲が内側にのびてくると視力障害をきたします。進行はゆっくりですが、農業・漁業など戸外での就労が長い人に多発します。治療は外科的な切除を行います。
2.白内障は眼科疾患の中で最も多い病気のひとつで、目の中のレンズの役割をはたす水晶体が濁るため、網膜まで光が届かなくなり見え方の質が低下します。治療は濁った水晶体を超音波で乳化吸引して、同じ場所に人工の眼内レンズを入れる手術を行います。
3.目の周りの皮膚のシミ、しわは、一般に加齢による老化と思われがちですが、実は紫外線による慢性的な害である光老化が上乗せされているのです。
光老化で特徴的なことは皮膚の張りを保つ弾性線維が破壊され、お団子状になる光弾性線維症という変化が起こります。
4.紫外線は細胞のDNAを傷つけ、皮膚ガンの原因になります。米国皮膚ガン協会によりますと、皮膚ガンの10%はまぶたに見つかるとも言われています。

紫外線は決して悪いものだけではありません
紫外線とビタミンDは切っても切れない関係にあります。ビタミンDの主な働きは、腸からのカルシウムの吸収を2−5倍に増加させることです。人は食事からのビタミンDと日光紫外線により体内で産生されるビタミンDの両方から必要なビタミンDを得ています。
皮膚科ではアトピー性皮膚炎の治療にも紫外線の性質を利用した治療が行われています。また屋外で活動する時間の長い子供に近視が少ないことから、
屋外環境の何かが近視抑制と関連しているのではないかと考え、紫外線との関係を研究している眼科のグループもあります。

対策
日焼け止めクリームやサングラスも良いですが、通常のUVカットレンズのメガネをかけることで目に取り込まれる紫外線の90%を防ぐことが可能になります。
目から皮膚の日焼け?まさかと思いますよね。目から入る紫外線が、角膜に炎症を起こすと脳にストレスとして情報が伝わりストレスホルモンが分泌されます。すると皮膚のメラニン細胞が活性化されメラニン産生を増やし、シミやしわを作ってしまいます。UVカットレンズで、目を守ることで美肌ケアをしましょう。お顔にあわせたフレームを選ぶことでより効果的になります。おしゃれに老化防止しましょう。

両国眼科クリニック 院長 岩崎美紀 寄稿

J1003U1N-0284/2018-09-01

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